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すごい!!必見!!焼杉作りとは?

↑焼き上がった焼杉板

 「ウロコ」がきれいに出ています

 

こんにちは。

先日、外壁材として使用する『焼杉』を自社で作成しました。

工業製品化されていて、製品として販売されているものもありますが、今回は、自社で本格的に作り、実際に使用します。

(工業製品として出荷されているものは、焼き入れが浅めのものが多いのではないでしょうか。)

機械を使い流れ作業で作っていく方法もありますが、大工さんが現場で行っていた、昔からの伝統的な方法『三角焼き』で作成しました。

焼き入れの時間や焼き方の違いで炭化層(焼き色に関わってきます)の深さが違います。

この炭化層の違いで、経年変化や劣化性能などに違いが出ます。

焼き入れが浅いと炭化層が薄くメリットが発揮されず、経年変化などの影響を受けやすいものになってしまいます。

 

改めて『焼杉』とは・・・

その名前の通り、杉の表面を燃やして作ります。

表面が炭化すること耐久性に優れた素材になります。

「炭」が腐るということはないですよね。

焼かない、いわゆる普通の杉板を塗装して外壁などの風雨にさらされるヶ所に使用した場合、雨にぬれたり乾いたりを繰り返すうちに木目の柔らかい部分からやせていったり変色していったり、木材そのものが腐ったりすることがあります。

炭化した状態であれば、菌類が繁殖するために必要な栄養分などがないため、菌などの繁殖も抑えられ外壁に使用した場合も耐久性が高くなります。

木材なので反ったり割れたりは素材の特徴として起こり得ます。

また、炭化層がいずれ剥がれてくるということも考えなければなりません。

もちろん危険なので、再度焼き込みを行ったりはしませんが、墨汁などの同じ墨の成分を含むもので部分的な補修を行ったり、外部用木部塗料、具体的に言えば、キシラデコール等の黒を塗ることで補修することができてメンテナンスも比較的簡単です。

一般的な杉板張りの外壁と同じく、自然素材のため張替が可能で、この素材の強みですよね。

工業製品のように、生産が終了していて部分的に修理できないことはないので外壁素材としては安心です。

 

 

↑↑↑3枚の板を三角形の煙突状にして、濡らした縄(今回は麻ひもを使用)で縛り、おがくずや新聞紙などの焚き付けを入れるのが昔ながらのようですが、燃えた新聞が飛んでしまうなど欠点もあるので、今回はガスバーナーを使い点火しました。

そうして下部から燃えると煙突効果(ドラフト)ができて非常に強い火力で、この三角の板の内側が焼かれます。

 

↓↓↓この写真のように、炎や煙が上がります。

この焼け具合を調整するのが職人技ですね。

 

 

 

 

十分に焼けたら、縄を解き、水をかけて冷やします。

この三角焼きの良さは炭化層の厚みが厚く、耐久性が高くなる点です。

(直接バーナーでの焼き入れは外壁に使用すると炭化層が薄いのでやはり「三角焼き」でしっかりと焼き目を付けた材料をおすすめします)

 

■焼杉板のデメリットは?

焼杉のデメリットはないのでしょうか?

 

★防火性能が公的機関で評価されていない

杉板の表面を炭化させるのが焼杉板ですから、表面が炭の色である黒一色となります。

焼き加減で多少表情を付けることができますが、①外壁に使用する場合はデザイン面で工夫が必要になります。

その他には、②デメリットとして、防火性能に難があります。

もう少し正確に言えば、焼杉板そのものの防火性能が劣るのではなく、焼杉板を外壁に使用した場合の防火性能が公的機関などで評価されていないため、地域によっては外壁材として利用できない場合があります。

住宅などの建物が比較的密集しているような防火に配慮しなければならない地域(防火地域に指定されているエリア)では、壁の構造を工夫や延焼ライン等検討すべき点があり、焼杉板を含め板張りの外壁にすることができません。

外壁材としてご検討されたい場合は、プランニングしていく中で確認が必要となります。

★触ったり、寄りかかると…汚れます!

焼杉板は手で触ると汚れるのできれい好きの方には向かない・・・とよく言われます。

焼杉板は表面の炭化層が「味」です。つまり、基本的にずっと③ススが付着します。

何も知らないお子様が外壁を触って、その汚れた手で家の中の壁をベタベタなんてこともありえます…

でも、一度経験すると分かるので、そんなに気にしなくてもいいのかもしれません。

気になるのは、見たこともない来客者(大人)が触ってしまうことが多く、気づいた時には手が真っ黒…なんてことも。

 

■焼杉はメンテナンスが必要なの?

 耐久性は耐久年数は?

焼杉板の焼き具合やその板が使われている場所によっても変わりますが、外壁面であるなら軒の出の量などの条件で耐用年数は大きく変わってきます。

(焼杉板を外壁に使用する時のポイントはできるだけ軒の出を出すことがよいです。また、北陸は風雪が北西から強く吹き込む事が多いので、外部の仕様やプランニングでは気をつけるポイントになります。また、周辺に川がある場合は、風の道になるので、その辺も考慮しましょう。)

 

焼杉板に限らず何十年も使っていくものであるなら、点検とメンテナンスは必ず必要になってきます。

焼杉板の場合、炭化層がはげ落ちてしまうと、もちろん普通の板張りと同じになってきますから、腐りやすくなります。

時々は外壁を見回って、炭化層がはげ落ちているようなところがないかは確認した方が良いでしょう。

(これは、どんな素材を使っていても行ってください。北陸は特に風雨、雪害も多く外部の変化を早く見つけることが重要です。その際、気になることがあればアフターメンテナンス担当者までご相談ください。)

 

【まとめ】

良く焼いて炭化層の厚みがある焼杉板であれば、50年以上は持つと言われています。

腐りをもたらす菌の繁殖を抑え、防火性能を発揮するのは、炭化した部分がはげ落ちたりしなければ継続します。

耐久性の部分や利便性の面も、他の部材と比べると良い面は多いですが、デザイン面は好みによる。

↑↑↑これが、ポイントですね。

 

外部仕様に限らず、内部仕様、設備機器など、正しい使い方やメンテナンス方法があって、節電や長持ちに繋がったりします。

お掃除の仕方もより効率的な方法もあります。

(そうしたことにも今後触れていきたいなと思います・・・)

きれいに使う・・・だけでは、ストレスの元になります。

どう使うことで家族みんなで快適で使い勝手が良くなるかは、プランニングする上でご家庭ごとにルーティンや癖があると思います。

そうしたものの考え方や、設計者の経験など話し合って素敵な住まいづくりになるといいですね。

 

本日も、長文お読みいただきありがとうございました。

本日もみなさん、お幸せにお過ごしください。

 

 

株式会社共栄木材様 YouTubeリンクです。

https://youtu.be/oFskkbRqur0

こちらのように、機械を使い流れ作業で作っていく方法もあります。

 

弊社の焼杉動画も編集完了次第・・・時期未定ですが、アップしていきます。

ご期待ください。