FEATURES

サウナ

本場・フィンランド製サウナを自宅に。
「ととのう」ための動線も吟味。


 

コロナ禍に入るまでは「週8」でサウナに通っていたというHさん。仕事が休みになる土日のどちらかは朝晩と出かけることもあったとか。

タナカカツキ原作『マンガ サ道~マンガで読むサウナ道~』をきっかけにサウナに魅了され、中部地区のサウナ行脚をしたことも。しかし、コロナ禍に突入。行き着けのサウナにも行きにくくなってしまったことが耐えきれず、Hさんはついに、自宅の新築を機に「マイ・サウナ」を作りました。「今はむしろ家のほうが〝サウナの付属品〟のよう」と笑います。

 

 

サウナは、海外の本格サウナの輸入・販売を手掛ける『フィンランドサウナジャパン』経由で取り寄せた、本場・フィンランド製のビルトインタイプ。サウナファンにはレジェンドとして知られている松井正満さんが同社の代表を務めていることも、購入の後押しになったとか。当初は「庭にテントサウナでも」と気軽に考えていたそうですが、風の強いエリアということとメンテナンスのしやすさを考慮し、ビルトインタイプの導入を決断しました。

 

素材は香りの良さと水にも強いことから総檜をセレクト。もちろん、ロウリュができるタイプです。温まるまでの時間と電気代のコストなどを鑑み、Hさんはコンパクトな1人用を購入しています。日本のサウナはいわゆる「ドライサウナ」と呼ばれ、湿度があまり高くないものが多いのですが、こちらのサウナは蒸気で湿度を高めながらゆっくり温度も上げていくところがHさんのお気に入りポイント。温度は1度刻みで設定でき、電源を入れて20分くらいで70~80℃に達します。

サウナの中には白樺のビヒタも常備。お気に入りの本を持ち込み、いい汗をかきながらデジタルデトックスのひとときを過ごしています。

 

ロウリュ:温められたサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させ、室内の湿度と体感温度を上げる手法

ビヒタ:サウナで使用する、枝葉を束ねた箒(ほうき)のようなもの。マッサージ効果や血行促進を狙い、体を叩くのに用いられる

 

 

 


 

Hさんがとりわけこだわったのが、しっかり「ととのう」ための「動線」です。浴室で体を洗い、サウナに入って、水風呂に浸かり、外気浴で仕上げる――このルートをいかにスムーズに作るかを考慮し、ドアを何回開けるかまで考え抜き、浴室から外気浴をする庭までの直線上に数歩ずつの距離感で、サウナと水風呂をそれぞれ配置しています。

サウナの扉を開けて数歩で出られる庭の一角にある水風呂には、広島県・呉から取り寄せた五右衛門風呂を採用。コロンとしたフォルムも愛らしく、ちょうど肩まで浸かれるいいサイズ。「普通の蛇口じゃ素っ気ない」と、インテリアコーディネーターにおすすめされたというスタイリッシュな蛇口も存在感を光らせます。この一角は格子で目隠しされ、隣家からのプライバシーも守られています。

 

 

 

 


 

水風呂はなんといっても温度が命。夏には20℃近くまで上がってしまう水温を常に10℃以下に保つことができる「チラー」と呼ばれるシステムも導入しています。水風呂のそばには外気浴を楽しむためのローチェアが。隣家との境界の壁は絶妙な高さで圧迫感もなく、ここからの空の眺めも抜群です。あまりの気持ちよさに5時間もここで居眠りしてしまったこともあったとか。

「どんなにストレスがたまっても、サウナがあれば大丈夫」とHさん。今や気の向くままに利用できるマイ・ホームサウナの存在は、何物にも代えがたいと語ります。